低評価の口コミが来た。状況別の返信例文5本と、すぐ返信しない判断
低評価の口コミは、見た瞬間に心拍数が上がります。まず深呼吸してください。そして1つだけ覚えておいてほしいことがあります。
返信を読むのは、書いた本人だけではありません。これから来るか迷っている「次のお客さん」が読みます。リクルートの調査では、悪い口コミに丁寧な返信をしている店への印象は「良くなった」が43.5%、「悪くなった」は6.5%でした(ホットペッパービューティーアカデミー・2024年。該当設問は回答62人の小規模集計なので参考値として見てください)。数字は小さめの集計ですが、方向ははっきりしています。返信は反論の場ではなく、次のお客さんへの手紙です。
この記事には、状況別の返信文例5本の全文と、書く前の手順、返信で戦ってはいけない口コミの見分け方まで載せました。
まず、すぐ返信しない(24時間おく)
最初の手順は、何もしないことです。口コミを読んでから24時間は、返信を書かない。書いても送らない。
その日のうちに書いた返信は、たいてい2つのどちらかになります。弁解が長い返信(「当日は◯◯という事情がございまして」)か、どこにでもある薄い返信(「ご不便をおかけし申し訳ございませんでした」の一行)です。前者は言い訳する店の印象を残し、後者は読んだ人に「読んでいない返信」に見えます。
24時間で変わるのは口コミの内容ではなく、あなたがそれを読める距離です。当日は「私が責められている」としか読めなかった文章が、翌日には「この人は待たされたことに怒っている」と読めます。この差が返信の質をほぼ決めます。
実務上の理由もあります。当日の記憶は、意外と正確ではありません。「そんなことは言っていない」と思ったことが、伝票や予約履歴を見ると少し違っていた、は起こります。24時間のあいだにやるのは、画面を閉じることと、その日の事実を記録で確認しておくことだけです。例外は、予約や営業に直接支障が出る内容(臨時休業を知らずに来た、など)で、これだけは待たずに事実の案内を短く出してください。
当日にやってしまいがちなのは、反論する(投稿者は再返信できるので応酬が公開の場に残ります)、全面的に謝る(やっていないことまで認めると「店が認めた事実」になります)、一日中読み返す(内容は変わらず、消耗だけ増えます)の3つです。
書く前に、口コミを「事実」と「感情」に分ける
翌日、下書きの前にやることが1つあります。口コミに書かれていることを、「実際に起きたこと」と「その人が感じたこと」の2つに割ります。事実に対しては、記録で確認して、合っていれば謝り、違っていれば静かに正す。感情に対しては、否定しない。ここが混ざったまま書くと、全部認める返信か、全部否定する返信のどちらかになってしまいます。
分けてみると、見え方が変わることが多いです。たとえば「20分待たされた。一言もなかった。施術は丁寧でしたが、もう行きません」という口コミなら、この方が一番怒っているのは待ち時間の長さより、待つあいだに何の説明もなかったことです。ここを取り違えると、「20分もお待たせしておらず」という一番まずい返信に向かいます。それと、低評価の口コミの半分以上には、実は褒めている部分が混じっています(「施術は丁寧でした」「味は好きなんですが」)。当日は目に入りませんが、分解すると見えます。返信で正面から受け止めるのは、一番強い不満の1つだけ。全部に答えると長くなり、言い訳に見えます。
状況別の返信文例5本(全文)
共通の型は「何に対して申し訳ないと思っているかを一言で書く。事情の説明は1文まで。最後を宣伝にしない」です。◯◯は自分の店に差し替えてください。文例中の状況は教材用に作った架空の例です。
1. コメントなしの星1
何が不満か書かれていないので、謝る対象を特定できません。全面謝罪も無視もせず、短く受け止めて窓口を開けます。
> ご評価をいただき、ありがとうございます。何か行き届かない点があったのだと受け止めております。よろしければ、お気づきの点を直接お聞かせいただけませんか。今後の見直しに使わせていただきます。
2. 事実の不満(待たされた・案内が足りなかった等)
記録で確認して事実なら、ぼかさずに認めて短く謝ります。「長らくお待たせし」より「20分近くお待たせし」のほうが誠実に読めます。
> この度は、お約束のお時間にお越しいただいたにもかかわらず、20分近くお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。お待ちのあいだにお声がけができておらず、不安なお時間にしてしまいました。施術についてのお言葉は、ありがたく受け止めております。お時間をいただき、ありがとうございました。
3. 事実と違うことが書かれている
反論はしません。ただし黙って全部認めることもしません。謝れる部分を先に、認識の違いは1文だけ静かに書きます。「そのような事実はございません」のような強い否定は、どちらが正しくても第三者には「もめている店」に見えます。
> ご来店とご指摘をありがとうございます。ご説明が行き届かない点があったこと、申し訳ございませんでした。◯◯につきましては、当店の記録では△△とご案内しております。認識の違いがあるようですので、よろしければ直接お話を伺えれば幸いです。
公開の場に連絡先は書かず、返信は1往復で終えます。2往復目からは、読んでいる人にはただの応酬にしか見えません。
4. 悪意・攻撃(返信しない判断を含む)
来店した事実が確認できない、人格への攻撃、同じ内容の繰り返し投稿。これは返信で解決する種類ではありません。先にスクリーンショット(本文・投稿者名・日時が1枚に入るように)とページのURLを保存して、通報(次の節)に進みます。返信する場合も1通だけ、確認の姿勢のみです。
> ご投稿を確認いたしました。当店の記録では、内容に心当たりのあるご来店を確認できておりません。事実関係を確認したいので、よろしければ直接ご連絡いただけますでしょうか。
5. 高評価へのお礼
低評価の記事にこれを載せるのは、返信の習慣はお礼から作るほうが続くからです。定型に見せないコツは、その口コミにしか書けない一言を1つ入れることです。
> うれしいお言葉をありがとうございます。◯◯を気に入っていただけて、何よりです。またお会いできるのを楽しみにしています。
AIの使いどころと、使ってはいけないところ
下書きはAIに作らせて構いません。理由は文章がうまいからではありません。自分とその文章のあいだに、一人分の距離を置けるからです。自分で書こうとすると、一文字目からあの口コミの記憶と戦うことになります。AIに一度通すと、目の前にあるのは「他人が書いた、まだ他人事の文章」で、書く作業が直す作業に変わります。頼み方は「この口コミへの返信を、謝りすぎず、言い訳せず、次に読む人が安心する形で3案。私が実際にやっていない改善策は書かないで」です。
ただし2つはAIに任せられません。事実関係の判断と、どこまで謝るかの判断です。そして送る前に1つだけ目視の検査を。AIは頼んでいなくても「現在改善しております」「再発防止に努めます」と書いてきます。うちで試した限り、禁止の指示を入れても書いてきます。やっていないなら、それは公開の場に書いた嘘になり、次に同じ指摘が来たときに二重に信用を失います。この一語だけは、送る前に探して消してください。
仕上げは音読です。声に出して詰まる場所は、たいてい本心と違うことを書いている場所です。直すと送信ボタンが押せるようになります。
事実無根の口コミは、返信で戦わずに通報する
Googleマップなら、該当の口コミの横にある点が3つ並んだメニューから「レビューを報告」を選べます。ホットペッパーなどの掲載サイトにも、それぞれ報告の窓口があります。
期待の持ち方を先に決めておいてください。判断するのはサービス側で、消えないことのほうが多いです。だから報告は出すだけ出して、結果を待たずに文例3か4の返信を用意しておきます。返信のない状態が何週間も続くほうが、店には不利に働きます。
脅しや金銭の要求を伴うものは、口コミの問題ではなく警察相談(#9110)の領域です。削除請求や投稿者の特定といった法的な手続きは、この記事の範囲外です。弁護士などの専門家か、公的な相談窓口(法務省「みんなの人権110番」など)で、人に判断してもらってください。どの投稿が法的に問題かの判断は、AIにもさせないでください。
今日やる1つ
過去の口コミで、返信していないものが残っていたら、良い口コミへのお礼から1件返してみてください。低評価への返信より先に、返す習慣のほうを作るのが近道です。
よくある質問
Q. 返信は全部に必要ですか?
決まりはありません。ただ、返信は投稿者への返事というより、公開されている店の姿勢です。全部に返すのが理想ですが、続かなければ「低評価には24時間おいて返す・高評価には週1回まとめて返す」のような自分の型を決めるだけでも、返信ゼロの状態からは大きく変わります。
Q. 何日以内に返信すべきですか?
低評価は24時間おいてから、がこの記事の立場です。上限に決まりはありませんが、何週間も放置すると「対応しない店」に見えるので、1週間以内を目安にしてください(目安であって、決まりではありません)。
Q. 口コミは消せますか?
自分では消せません。ポリシー違反として報告はできますが、判断はサービス側で、消えないことのほうが多いです。消すことに労力を全部使うより、返信で次のお客さんに姿勢を見せるほうが、自分で動かせる範囲としては確実です。
この記事の完全版(傷ついた気持ちを先に片づける吐き出しの頼み方・口コミを事実と感情に分ける分解プロンプト・返信3案の生成と送信前検査9項目の頼み方・公的な相談窓口の一覧と迷ったときの順番・月1回のまとめ読みの型)は、noteの記事と月額の研究室で公開予定です。公開され次第、ここにリンクを載せます。
出典: (株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「口コミに関する意識調査」(2024年・全国15〜49歳女性2,000人。悪い口コミへの返信の印象は該当設問の回答62人の小規模集計・参考値)/文例中の口コミと状況は教材用に作った架空の例です
手順の詳しい版・コピペで使えるAIへの頼み方・実測データは、noteの記事(300円)と月額の研究室で公開予定です。公開され次第、ここにリンクを載せます。