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情報発信・口コミ Record No.012 ・ よみ時間 約9分

値上げのお知らせ例文。貼り紙用と常連さん向けの2本、そのまま使えます

先に結論を言います。値上げのお知らせに入れる要素は、①いつから ②新旧の価格 ③自分の店で起きた理由 ④何が変わらないか ⑤お詫びと感謝(各1文)の5つだけです。この記事には、貼り紙用と常連さん向けLINEの例文を全文で置きました。{ }を差し替えれば使えます。

謝り倒す必要はありません。謝罪が1回でいい理由、書き忘れると問い合わせが増える1行、「何人までなら抜けても大丈夫か」を先に計算しておく方法まで、順に書きます。

店主店主

材料も電気代も上がって、もう値上げするしかない。でも、お知らせに何て書けばいいのか。謝り倒すのも違う気がするし

研究室研究室

型は5要素だけです。例文を2本、そのまま使える形で置きました。謝るのは1回でいいです。理由も説明します

01上げられていないのは、あなただけではない

文面の前に、数字を少しだけ。日本商工会議所が2026年5月に会員企業2,497社へ行った調査では、コスト上昇分を価格に転嫁「ほとんどできていない」「していない」が合わせて48.4%でした。半分近くが上げられていません。しかもこの調査では、消費者に近い業種や規模の小さい企業ほど転嫁しづらい傾向が指摘されています。お客さんの顔が見える商売ほど、上げにくい。個人店は、いちばん上げにくい側にいます。

同じ日本商工会議所のLOBO調査(2026年1月)では、コスト増加分の4割以上を価格に転嫁できた企業は、消費者向けの商売(BtoC)で28.7%。企業向け(BtoB)の41.0%より低い数字です。つまり、あなたが上げられずにいるのは度胸の問題というより、消費者相手の商売に共通の構造です。

一方で仕入れは待ってくれません。帝国データバンクの調査では、2026年の飲食料品の値上げは5年連続で年間1万品目を超える見込みです。仕入れ側は毎年上がり続けるのに、こちらの価格だけ止まっている。この差は放っておくと勝手に広がります。だからこの記事は、上げるかどうかの説教でなく、決めたときに角を立てずに伝える段取りの話をします。

02入れる要素は5つだけ

要素書き方悪い例
① いつから日付を明記(◯月◯日ご来店分より)「近日中に」
② いくらになるか新旧の両方を書く新価格だけ書いて旧価格を隠す
③ なぜ自分の店で起きた事実を1〜2行「昨今の情勢を鑑み」
④ 何が変わらないか時間・内容・対応は変えないと明記触れない
⑤ お詫びと感謝各1文まで謝罪を3回繰り返す

書き忘れがいちばん多いのは④です。値上げの貼り紙を見たお客さんが最初に不安になるのは、値段そのものより「これから何か削られるのでは」のほうです。そこを先に打ち消しておくと、同じ値上げでも受け止められ方が変わります。

③は「物価高のため」で済ませないでください。抽象的すぎて、あなたの店の事情に聞こえません。「使っている化粧品の仕入れ値が昨年から上がった」のように、自分の店で起きた出来事として書くと伝わります。

03例文全文(貼り紙用と常連さん向け)

貼り紙用(店内掲示・約300字)

料金改定のお知らせ

いつもありがとうございます。

{10月1日}のご来店分から、料金を下記のとおり変更します。

{フェイシャル60分 5,800円 → 6,300円}

{VIO脱毛 6,100円 → 6,600円}

{使っている化粧品の仕入れ値が昨年から上がり、電気代も増えました。今の料金のままでは、これまでと同じ質でお続けすることが難しくなってきました。}

施術の時間、使う化粧品、カウンセリングの時間は、これまでと変わりません。

なお、{9月30日}までにお取りいただいているご予約は、これまでの料金です。

ご負担をおかけします。これからもどうぞよろしくお願いします。

{店名}

常連さん向け(LINEの個別メッセージ)

{◯◯}さん、いつもありがとうございます。先にお知らせさせてください。

{10月1日}から、{フェイシャル60分を5,800円→6,300円}に変更します。{化粧品の仕入れ値と電気代が上がり、今の料金では同じ質を保てなくなってきた}ためです。

施術の時間も内容も、これまでと変わりません。{9月30日}までにいただいているご予約は、今の料金のままです。

長く通ってくださっている{◯◯}さんには直接お伝えしたくて、ご連絡しました。これからもよろしくお願いします。

2本に共通で、効いているのは「ご予約済みの分はこれまでの料金です」の1行です。ほぼ全員が「予約してある分はどうなるの?」と疑問に思うので、書いていないとその分だけ質問が来ます。AIに下書きを頼む場合も、この1行は指定しない限り出てこないので、自分で足してください。

会計時に口頭で添える一言も1本だけ。「{10月}から{500円}だけ上がります。仕入れが上がってしまって。時間も内容も変わらないので、これからもよろしくお願いします」。10秒です。貼り紙は見ていない人が案外多く、SNSは届かない人がいます。来た人全員に届く経路は、この会計の10秒だけだったりします。

04やってはいけない4つ

  • 黙って上げる: 気づかれます。そして気づいた人が思うのは「高くなった」より「黙っていた」のほうです。値段の話が信用の話に変わります
  • 謝りながら上げる: 「大変申し訳ございません」を重ねるほど、「本当は上げるべきでないことをしている」という空気が濃くなります。謝罪は1回、理由は事実で
  • 常連さんだけ据え置く: ほぼ露見します。しかも「据え置いてもらえなかった側が知る」という最悪の形で。差をつけたいなら回数券や先行案内など、条件を満たせば誰でも得られる形にしてください
  • 同時にサービスを削る: 時間短縮やお茶の廃止を同じ月にやると、体感の値上げ幅が倍増します。削る変更は3ヶ月ずらし、同時にやっていいのは足す方向だけ

05いつ・どこで知らせるか

目安として、新価格の1ヶ月前までに全員へ届いている状態を作ります。3週間前から動けば間に合います。

いつやること
4週間前告知文を作る(この記事の例文を差し替え)
3週間前店内に貼り紙(受付・席の近く・お手洗いの3ヶ所)
3週間前LINE公式・SNSで1回だけ告知
2週間前〜来店したお客さんに、会計時に口頭で一言
1週間前予約が入っている人へ、前日リマインドと合わせて案内
当日以降貼り紙を新価格の表記に差し替え、旧価格の紙は撤去

LINEでの一斉告知は、無料プランの配信数で十分足ります。0円のままの設定はLINE公式アカウントを無料でどこまで使えるかに、前日リマインドの文面は無断キャンセルを減らす文例にまとめてあります。

POINT 告知でいちばん確実な経路は口頭

貼り紙だけでは全員に届かず、SNSも届かない人がいます。会計時の10秒は、来た人全員に届く唯一の経路です。言い方を1つ決めて、言い慣れておいてください。

06「何人までなら抜けても大丈夫か」は計算できる

最後に、文面より手前にある不安の話です。値上げが怖いのは「何人減るか分からない」からですが、何人減るかは誰にも分かりません。未来の数字だからです。代わりに、「何人までなら減っても手元のお金が今と同じか」は、今日の数字だけで計算できます

抜けてもいい人数 = 値上げ額 × 今の月の客数 ÷ 値上げ後の1人あたり粗利

(1人あたり粗利 = 平均単価 − 1件あたりの材料費)

当研究室が教材用に作った架空サロンの予約データ(平均単価6,883円・月50.7人・材料費を単価の20%と仮定)で計算すると、500円の値上げで「抜けてもいい人数」は月4.2人でした。架空データとはいえ、最初に出したときは「え、4人?」と思いました。漠然と想像していた「常連さんがみんな離れたら」という恐怖とは、桁が違います。恐怖は輪郭がないほど大きく見えるので、電卓で30秒、自分の数字で出してみてください。

07今日やる1つ

5要素の③「自分の店で起きた理由」だけ、1〜2行で書いてみてください。仕入れの何が、いつごろから、どれくらい上がったか。ここが書けると、残りは例文の差し替えで終わります。逆にここが「物価高のため」のままだと、どんな文面にしても他人事の告知に読まれます。

08よくある質問

どれくらい前に知らせればいいですか?

決まりはありませんが、実務では1〜3ヶ月前、遅くとも1ヶ月前が広く目安とされています。急な告知は不信につながりやすく、余裕のある告知は「その前に一度行っておこう」という来店にもつながります。個人店なら、3週間前から動いて1ヶ月前に届いている、くらいの設計が無理ないです。

常連さんだけ今の値段のままにできませんか?

気持ちは分かりますが、勧めません。露見したとき、それを知るのは据え置いてもらえなかった側です。据え置かれた側にも「自分だけ安い」が気まずさとして溜まります。価格は全員同じにして、感謝は回数券や先行案内のような、条件を満たせば誰でも得られる形で示すほうが安全です。

値上げしたら、本当にお客様は減りますか?

減るかどうかも何人減るかも、この記事では約束できません。参考値として、ホットペッパービューティーアカデミーの調査(2023年3月)では、ヘアサロンの値上げに「納得している」が計70.7%、値上げ後も来店頻度を「変えるつもりはない」が約6割でした。他業種を含む調査なのであなたの店の結果は分かりませんが、「全員が離れる」という前提が現実的でないことは読み取れます。


この記事の完全版(値上げ幅ごとの許容離脱人数の早見表20マス・赤字ラインの計算・メニュー別の仕分け方・告知文を作るプロンプト4本と想定問答10個)は、noteの記事と月額の研究室で公開予定です。公開され次第、ここにリンクを載せます。

出典: 日本商工会議所調査(2026年5月・2,497社・転嫁「ほとんどできていない/していない」計48.4%)/日本商工会議所LOBO調査(2026年1月・コスト増の4割以上を転嫁できた企業 BtoC28.7%・BtoB41.0%)/帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年)/ホットペッパービューティーアカデミー価格改定調査(2023年3月・参考値)/計算例は当研究室が教材用に作成した架空の予約データ(304件)の集計で、実在の店舗の数値でも業界平均でもありません。

完全版のありか この記録の完全版について

手順の詳しい版・コピペで使えるAIへの頼み方・実測データは、noteの記事(300円)と月額の研究室で公開予定です。公開され次第、ここにリンクを載せます。

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