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つづく 記録 No.003 ・ よみ時間 約9分

無断キャンセルを減らす、お金のかからない方法

無断キャンセルが続くと、人を疑いたくなります。ただ、先に言ってしまうと、無断キャンセルの多くは人柄の問題ではありません。予約の設計の問題です。

無断で消える人の多くは、悪意で消えていません。予定が変わった。連絡しなきゃと思った。でも何と言えばいいか分からない。明日でいいか。当日になった。もう気まずくて連絡できない。この「言い出しにくくなった」の地点で止まっている人が、かなりの割合を占めます。だから店側が用意するのは、思い出させる仕組みと、連絡しやすい逃げ道です。この記事には、そのまま使える3層の文例をLINE版とSMS版で計6本、キャンセルポリシーの文例1本まで全部載せました。ペナルティの話は最後に少しだけです。

夜の店、連絡のないまま空いたままの予約席

011件飛ぶと、いくら消えるのか

無断キャンセルの被害は、飲食業界だけで年間約2,000億円という推計があります(経済産業省の検討会レポート・2018年・推計値)。ただ、店にとって大事なのは業界の合計ではなく、自分の店の1件です。

当研究室が教材用に作った架空のサロンの予約データ(60日・予約119件)では、内訳はこうでした(架空データの集計で、業界の平均値ではありません)。

結果割合
来店81.5%
前日以前のキャンセル10.9%
当日キャンセル4.2%
無断キャンセル3.4%

痛いのは下の2つです。前日までに連絡が来れば枠は動かせますが、当日と無断は動かせません。この店の場合、動かせない9件で売上約6.3万円と、準備・片付けの時間が約11時間、60日で消えている計算でした。

数字そのものより、持ち帰ってほしいのは分け方です。「キャンセルが多い」とひとまとめにせず、前日以前・当日・無断の3つに分けて数えると、打ち手の場所が変わります。もう1つ、この架空データでは無断の4件が4件とも初回のお客さんでした。件数が少ないので断定はできませんが、無断が初回に偏る店なら、手を入れる場所は初回の予約が確定した瞬間です。

023層の一言(考え方)

対策は3つのタイミングに分かれ、役割が違います。

  1. 予約時: 予約を「約束」にする。日時・場所・当日やることを頭に入れてもらい、「前日までは気軽に変更できます」と出口も先に見せる
  2. 前日: 思い出してもらう。大事なのは文面で、「ご都合が変わっていたら返信1つで変更できます」と逃げ道を書くこと。変更の連絡は失客ではありません。無断キャンセルの代わりです
  3. 当日連絡なし: 責める文を送らない。扉を閉じないための1通だけにとどめる。ここで責めると、気まずさで二度と戻れなくなります

直感と逆に聞こえますが、変更やキャンセルをしやすくするほうが、無断は減らしやすくなります。前日のキャンセルは、当日や無断よりずっとましだからです。逃げ道の一言は優しさというより、損失を軽いほうに付け替える設計です。なお、3通全部を毎回送るのは重いので、まず予約時の1通から始めてください。

033層の文例全文(LINE版とSMS版・計6本)

書き方の原則は3つ。①曜日を書く(日付だけだと勘違いが起きます)。②変更の出口を添える。③督促に読める言葉を使わない(「お忘れではありませんか」「なるべくお控えください」は、言い出しにくくする方向に働きます)。{ }は差し替え箇所です。

予約時(予約が確定した直後)

3層の中で一番効くのがここです。予約した直後は、相手がまだ乗り気な唯一の瞬間だからです。入れる要素は5つで、順番もこのままにします。

要素なぜ要るか
日時(曜日も)日付だけだと勘違いが起きます
所要時間終わりの時刻が分かると予定に入れやすい
場所(目印つき)迷うと当日の離脱が起きます
当日やること1つ来る場面が想像できると、予定として定着します
変更の方法と期限ここが本題。気まずくない出口を先に見せる

LINE版

{店名}です。ご予約ありがとうございます。

{日付}({曜日}){時刻}〜 {メニュー}(約{所要}分)

場所は{ビル名}の3階です。迷われたら、このトークにご連絡ください。

ご予定が変わったら、前日18時までは、このトークから日時の変更ができます。遠慮なくお知らせください。

SMS版

{店名}です。ご予約を承りました。{日付}({曜日}){時刻}〜、約{所要}分です。ご予定が変わったら、前日18時までこの番号への返信で変更できます。当日お待ちしています。

前日

LINE版

明日{日付}({曜日}){時刻}のお時間でお取りしています。当日は{前回気にされていた◯◯を見ますね}。

ご都合が変わっていたら、このトークから変更できます。返信1つで大丈夫です。

SMS版

{店名}です。明日{時刻}のお時間でお取りしています。ご都合が変わっていたら、この番号への返信で変更できます。お気をつけてお越しください。

前日版のポイントは「当日やることを1つ書く」ことです。「明日行く」が漠然としていると流れますが、「明日◯◯をしてもらう」だと具体的な予定になります。それと、「準備してお待ちしております」は恩を着せる形に読まれやすいので、「お時間でお取りしています」の事実だけ書きます。

当日連絡なし(閉店後に1通だけ)

LINE版

本日はご都合がつかなくなったかと思います。どうぞお気になさらないでください。またご予約の際は、このトークからいつでもどうぞ。

SMS版

{店名}です。本日はご都合がつかなくなったかと思います。お気になさらず、またの機会にご連絡ください。

この1通は、責めない・理由を聞かない・返信を求めない、の3つを守ります。「どうされましたか」も尋ねる形なので使いません。割引も付けません(飛んだ人に得があるのは筋が違います)。送るのは1通だけで、あとは待ちます。

文面の量産や言い換えはAIに頼むと早いです。ただ、うちで試したら、禁止と指示したのに「キャンセルはなるべくお控えください」を入れてきました。この系統の一言だけは、送る前に自分の目で消してください。

04キャンセルポリシーはどこまで書くか

書く場所は、予約ページ・予約完了メッセージの末尾・店内掲示の3つです。角が立つポリシーには共通点があって、罰則から書き始めています。順番を変えるだけで読後感が変わります。

書くこと
1予定が変わるのは普通のことだと認める
2だから早めに教えてほしい、という依頼
3期限と方法を具体的に(「前日まで」は何時までか不明確)
4期限を過ぎた場合の扱いを、淡々と

文例を1本。

ご予定は変わるものだと思っています。分かった時点でお知らせいただけると助かります。日時の変更・キャンセルは、前日18時までLINEまたはお電話で受け付けています。それ以降は枠のご用意の都合上、ご希望に沿えない場合があります。

キャンセル料については、概要だけ書きます。料金を実際に請求するには、予約の時点で条件を伝えて、相手が了承していることが前提です。掲示や書面の整備が要り、業種や契約の形によっては法律の決まりも関わります。金額を決めて請求する段階に進むなら、実行前に行政書士・弁護士など契約を扱う専門家に確認してください。それと順番の話をすると、取れたとしてもその人はもう来ません。数千円を回収して再来を失うのは、最初の一手には重すぎます。3層の文例を1ヶ月回すほうが先です。

05飲食とサロンで違う点

同じ「無断キャンセル」でも、痛み方が違うので力点も変わります。

  • 飲食店: 1件の予約に複数人が乗ります(4名席が飛ぶと単価×4)。コース予約は仕込んだ食材のロスが上乗せされます。力点は前日の確認と、コース予約だけ事前決済や前日連絡を厚くすること。当日の確認連絡が自然に受け入れられやすい業種でもあります
  • サロン・教室・整体: 1枠=1人で、食材のロスはない代わりに、空いた時間は在庫にできません。当日の埋め直しはほぼ無理です。力点は予約確定時の1通と、変更のしやすさ。飛んだ枠は埋めようと消耗するより、自分の仕事か休憩に使うと先に決めておくほうが楽です

共通するのは、時間を先に押さえて、来なければ売れない商売だという構造です。だから対策の骨格(3層+ポリシー)は業種を選びません。

もう1つ、業種を問わず効くのが「数えること」です。飛んだときだけ、日付・新規か再来か・結果(前日以前/当日/無断)の3つをメモに1行書く。1件30秒で、月に10行も溜まりません。数えずに対策を始めると、打ち手は「全員に厳しくする」方向へ行きがちで、飛ばない9割のお客さんが窮屈になるだけです。無断が初回に偏っていれば予約時の1通を、久しぶりの人に偏っていれば前日の1通を厚くする。数えた分だけ、手を打つ場所が絞れます。

06今日やる1つ

前日リマインドの文面を1本だけ作ってください。上のLINE版をコピーして、店名と時間を差し替えるだけです。明日の予約のお客さんに送ってみて、効果の実感はそこからで十分です。

07よくある質問

キャンセル料は請求できますか?

条件がそろえば請求できる場合がありますが、思い立った日から取れるものではありません。予約時点で条件を伝えて相手が了承していることが前提で、掲示や書面の整備が要ります。実行する前に、契約を扱う専門家に一度確認してください。順番としては、その前に3層の文例で「飛びにくい形」を作るのが先です。

電話番号だけの予約でもリマインドできますか?

できます。番号が分かればSMS(ショートメッセージ)が送れます。この記事の文例は全部SMS版を用意したので、そのまま使えます。送信は1通ずつ自分の手で。宛先の取り違えだけは取り返しがつきません。

常連さんにもリマインドを送るべきですか?

送って問題ありません。ただし短くしてください。場所や持ち物の案内は要らないので、「明日{時刻}にお待ちしています。変更はこのトークから」の1〜2行で足ります。初回向けの長い定型文を常連さんに送り続けると、逆に距離を感じさせます。


この記事の完全版(飛んだ予約だけを1行メモで数える型と集計のAIへの頼み方・予約確定/前日/当日/事後の文面を作るプロンプト一式・ポリシー文面のチェックリスト12項目・空いた枠の使い道を先に決めておく型)は、noteの記事と月額の研究室で公開予定です。公開され次第、ここにリンクを載せます。

出典: 飲食業の無断キャンセル被害 年間約2,000億円=経済産業省系の検討会「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(2018年・推計値)/キャンセル内訳・金額の例は当研究室が教材用に作成した架空の予約データ(60日・119件)を集計したもので、実在の店舗の数値でも業界の平均値でもありません

完全版のありか この記録の完全版について

手順の詳しい版・コピペで使えるAIへの頼み方・実測データは、noteの記事(300円)と月額の研究室で公開予定です。公開され次第、ここにリンクを載せます。

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