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経営数字 Record No.006 ・ よみ時間 約10分

ホットペッパーの掲載料は高いのか。やめる前に見る3つの数字

「掲載費、高い気がする」。この感覚は大事にしていいのですが、感覚のままやめると失敗します。高いかどうかは、3つの数字を並べると電卓1つで判断できます。

この記事では、その3つの数字の取り出し方(管理画面のどの画面を見るか)、実際のレポートCSVで診断を一周した例、プランを下げる前・やめる前にやる順番まで書きます。当研究室は2026年8月29日に、実在のサロン(ご了解を得て・数字は丸めて掲載します)のレポートで、この診断を実際に一周しました。

閉店後、電卓とレシートを前に数字と向き合う
店主店主

掲載費、正直きついんだよね。思い切ってやめちゃおうかな

研究室研究室

その感覚は判断の入口として大事です。ただ、感覚のままやめると翌月の予約が空きます。3つの数字を並べてからでも遅くないです

掲載費の判断に使う3つの数字

01見る数字は3つ

  1. 媒体経由の新規客数(先月、掲載ページから何人来たか)
  2. その人たちの売上(初回の施術・飲食の合計)
  3. 払っている総額(掲載料+ネット予約手数料+クーポンの値引き分)

3つ目に、請求書に載らない項目が1つ入っています。クーポンの値引き分です。8,800円のメニューを初回4,400円で出しているなら、その4,400円は新規を1人連れてくるために払った広告費で、掲載料と同じ財布から出ています。手数料と値引きを合わせた実質の負担は掲載料の1.5〜2倍という目安が、サロン支援会社のまとめで挙げられています(参考値)。当研究室が教材用の架空データで計算したときも1.86倍でした(架空データ・掲載料8万円は仮定の試算)。しかも上乗せ分の大半が、請求書に載らないお金でした。

3つがそろえば、「実質の総額÷新規客数=新規1人をいくらで買っているか」が出ます。たとえば掲載料と値引きで計7万円払って新規10人なら、1人7,000円。初回の粗利がそれを下回っていれば、初回単体では赤字です。

ここで大事なのは、初回が赤字でも即「損」ではないことです。その新規客が2回目、3回目と来てくれるなら、生涯で見れば黒字になりえます。本当の判断材料は、掲載費そのものよりリピート率です。リピートが弱い店が掲載費を払い続けると、穴の空いたバケツに水を注ぐ状態が続きます。

POINT 診断の式は1つ

実質の総額(掲載料+手数料+クーポンの値引き分)÷媒体経由の新規客数=新規1人をいくらで買っているか。請求書に載らない値引き分まで式に入れるのが、この診断の肝です。

02実際のレポートCSVで見るとこうなる

サロンボード(ホットペッパービューティーの管理画面)には、この診断に使える公式のレポートがあります。集計・分析のメニューからHPBレポートの「基本情報」のCSV(Excelでも開ける表のファイル)を出力すると、こんな数字が並んでいます。

数字意味
サロン情報PV数ページが開かれた回数
CVR開いた人のうち、クーポン・メニュー画面まで進んだ割合
ACRクーポン・メニューを見た人のうち、予約した割合
予約数・予約売上高結果の数字

そして大事なのは、それぞれに「同P同A平均」という比較の列が付いていることです。同じプラン・同じエリアの平均とみられる値(PとAはプランとエリアの略と読めます)で、公式の基準線がタダで手に入ります。「PVが1,600」だけでは良し悪しは分かりませんが、「平均も1,600」なら入口は合格と読めます。

2026年8月に当研究室が実在サロンのレポートで行った診断を、特定を避けるため数値を加工した例で示します(傾向は実測のままです)。

見る場所自店同P同A平均
ページが開かれた回数約1,500約1,500
クーポン画面まで進んだ割合5割弱5割強
そこから予約した割合平均の半分以下—

ページは開かれ、クーポン画面までは進まれているのに、最後の「予約する」の一歩だけ平均の半分以下。予約数もほぼ半分でした。ページを見に行くと、答え合わせのような光景で、クーポンが20本近く並び、ほとんどに同じ飾り言葉が付き、所要時間の記載がありませんでした。選ぶ手がかりが消えていたわけです。

ここから言えるのは、「掲載費が高い」と感じる店の中には、本当に費用対効果が合っていない店と、ページの1箇所が詰まっていて数字が出ていない店が混ざっている、ということです。やめる判断の前に、自分がどちらなのかをこのCSVで見てください。詰まりを直して数字が変わる余地があるなら、同じ掲載料でも意味が変わります。

033つの数字の取り出し方(どの画面を見るか)

  1. 媒体経由の新規客数: HPBレポート「基本情報」のCSVに予約数があります。新規と再来の区別は、予約情報の一覧や顧客管理の画面で。CSVを出すのが億劫なら、予約台帳を先月分だけ手で数えても足ります(この診断に必要なのは1ヶ月分だけです)
  2. その人たちの売上: 同じCSVの「予約売上高」。なければレジや会計記録で、初回来店分を合計します
  3. 払っている総額: 請求明細の掲載料と、ネット予約手数料の項目(料率は公開されていないので、明細の実額をそのまま使います)。それにクーポンの値引き分(通常価格−クーポン価格×その月のクーポン利用の新規人数)を足します。クーポンを作った日に「通常◯円→クーポン◯円=差◯円」と1行メモしておくと、翌月から計算がすぐ終わります

1つ補足を。このCSVは開くと文字化けすることがあります(古い文字形式のため)。化けたままでもAIに添付すれば読めるので、気にせず進めて大丈夫です。

04判断は3択

  • 数字が合っている: 続ける。ページの詰まりの直しで、費用対効果をさらに上げる
  • 数字が際どい: クーポンの深さか、プランのどちらか1つだけを1段動かして、翌月の数字を見る。同時に複数を変えると、何が効いたのか分からなくなります
  • 数字が合わない: やめる準備に入る。ただし順番があります(下の工程表)

05プランを下げると何が変わるか

断定できるほどの情報は公開されていません。掲載順位や露出の仕組みは非公開で、「下げたら順位がこうなる」と言い切る人がいたら、それは誰であれ推測です。確認できる事実の範囲で言えるのは3つです。

  • プランを下げても、手数料とクーポンの値引き分は掲載料に連動して下がりません。教材用データの試算では、掲載料を8万円から3万円に下げると、実質負担は掲載料の1.86倍から約3.3倍相当に変わりました(他の条件が動かない前提の机上の試算です)。「下げたのに楽にならない」はここで起きます
  • 契約には最低契約期間や、解約・変更の申し出期限があります。契約書と請求明細で先に確認しないと、下げたつもりが下がっていない月が出ます
  • 下げた影響は、翌月のCSV(PVと予約数)で自分の数字として確かめられます。1段だけ動かして、1ヶ月見る。これが一番確実な調べ方です

06いちばん効く変数は、掲載料よりリピート率

店主店主

え、掲載費の話をしてたのに、リピートの話になるの?

研究室研究室

試算では、掲載料をゼロにするより、2回目に来る割合を動かすほうが桁で効きました。高いと感じる原因が、費用の側にあるとは限らないんです

教材用データで、条件を1つずつ動かして試算してみたことがあります(架空データの机上試算です)。掲載料をゼロにしても、新規1人あたりの獲得コストは値引き分と手数料が残るので6割ほどまでしか下がりませんでした。一方、新規が2回目に来る割合を10%から40%に動かすと、1人のお客さんが1年で生む粗利は2.6倍に動きました。動かせる幅が、桁で違います。

エステの新規リピート率は平均で約20%というデータがあります(ホットペッパービューティー調べ・2021/2022年・参考値)。この数字が低いままだと、どれだけ新規を集めても回収は苦しいままです。掲載プランを下げる前に、「初回のお客さんの何割が2回目に来ているか」を1回数えてみてください。ここが弱いのが原因なら、プランをいじっても数字は良くなりません。

07やめる前の順番(4週間の工程表)

いきなりゼロにすると、翌月の予約が空いた状態から始まります。順番を踏んでください。

週やること
第1週代わりの入口を1つだけ用意する(Googleビジネスプロフィールを埋める、またはLINE公式アカウントを開設する。どちらか1つ。両方やろうとすると止まります)
第2週いま来ている常連さんに、次の連絡手段を伝える(「次のご予約はLINEからもお取りできます」の一言を会計時に)
第3週契約条件を確認する(最低契約期間・解約や変更の申し出期限・途中で下げられるか)
第4週1段階だけ下げる。ゼロにはしない

翌月に見るのは、新規の人数だけでなく手元に残るお金です。新規が5人減っても、実質の負担が3万円減っていれば、残るお金は増えていることがあります。人数だけを見ていると、この判断を間違えます。

注意 いきなりゼロにしない

掲載をやめる判断が固まっても、先に代わりの入口を1つ用意してから。契約の最低期間と申し出期限の確認も先です。順番を飛ばすと、翌月の予約が空いた状態から始まります。

08今日やる1つ

先月の「媒体経由の新規客数」を数えてください。レジや予約台帳を見れば出ます。この1つの数字を知っているだけで、営業電話への返事が変わります。

09よくある質問

手数料だけで判断していいですか?

足りません。請求書に載らないクーポンの値引き分が、実質の負担ではいちばん大きい項目になりがちだからです(教材用データの試算では、掲載料8万円に対して値引き分が約6.4万円でした)。そしてもう1つ、判断を左右するのは費用よりリピート率です。掲載費が高いのではなく、集めた新規が定着していないだけ、というケースは珍しくありません。

何ヶ月分の数字で判断すればいいですか?

3ヶ月分を目安にしてください。1ヶ月の増減は季節と偶然で動きます。掲載を始めたばかりの店は、2回目に来る時間がまだ経っていない人が大半なので、リピートを含めた判定は初回のお客さんが90日以上経ってからが安全です。それまでに出していいのは「新規1人あたりいくらか」までです。

営業担当には何を聞けばいいですか?

自分の数字(新規1人あたりいくらか)を出してから話すと、提案を判断できるようになります。聞くのは確認できる事実に絞るのがコツです。「同P同A平均の見方」「プラン変更時の最低契約期間と申し出期限」「いまのエリアで参画できる特集」。順位が上がるかどうかは仕組みが非公開なので、誰に聞いても答えは推測です。

出典: 実質負担が掲載料の1.5〜2倍=サロン支援会社各社のまとめ(参考値)/レポートCSVの診断は当研究室が2026年8月29日に実在サロン(掲載の了解を得て・数字は丸め)で実施(1回の観測です)/1.86倍・値引き分約6.4万円などの計算例は教材用に作成した架空の予約データ(6ヶ月・304件)の集計と掲載料8万円の仮定によるもので、業界の平均値ではありません

完全版のありか この記録の完全版について

手順の詳しい版・コピペで使えるAIへの頼み方・実測データは、note記事「ホットペッパーの掲載費、何人来たら元が取れるか」にまとめました(300円)。無料で読める範囲だけでも、取りこぼしの大きさは分かります。

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